資金繰りは利益に大きく左右されるものですが利益が赤字でも資金繰り自体は悪化せずうまく回っているケースがあり、これには減価償却費が関係しています。
ここでは減価償却費と資金繰りとの関係性についてご紹介します。
減価償却費とは?
減価償却費とは一時的な支出を一回ではなく数回に分割して費用化することで、耐用年数(使用可能な年数)に応じて算出されます。
耐用年数は車の場合は6年、照明設備の場合は15年など商品や設備によって定められています。
例えば600万円の車を購入した場合はその年に全額費用として計上するのではなく、耐用年数である6年間で分割して計上します。
車や大きな設備などその年だけではなく長期的に使用する目的で購入したものについては、使う年数に応じて少しずつ費用にしていくというのが減価償却の考え方なのです。
減価償却費と資金繰りとの関係性について
減価償却費で計上した費用があったとしても実際にお金が出ていく訳ではありませんので、利益で赤字が出ていたとしても赤字分の金額以上に減価償却費が計上された場合は資金が回ることになります。
また減価償却費の償却方法には定額法と定率法があり、資金繰りに与える影響は異なってきます。
どちらも耐用年数に応じた一定率を乗じた金額を減価償却費として計上するのですが、定額法は固定資産を購入した金額に、定率法は固定資産の帳簿価格に乗じます。
購入した金額は変わらないため定額法の場合は毎年同じ金額を計上しますが、帳簿価格は過去の減価償却費が差し引かれますので定率法の場合は年が経つにつれて金額は少なくなります。
定率法は最初は減価償却費が大きくなるため税金が減り一時的に資金繰りは楽になりますが年々税金が増えることから逆に苦しくなる可能性があるのに対して、定額法は毎年一定額のため資金繰りは安定する傾向にあります。
どちらにしても最終的に経費となる金額は同じであるため、経営状況に合わせて選ぶと良いでしょう。
このように減価償却費は資金繰りに大きく関係してきますので、耐用年数を考慮して設備投資を計画することが大切です。